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2021/05/31

「私はこの宿を書斎と心得ている」

日本のマルクス経済学者:向坂逸郎(さきさかいつろう)先生が愚者の道(朝日新聞様のコラム)で当宿をご紹介くださったお言葉です。
愚者の道では、1940年頃から40年以上当宿へ足を運んでくださり、「四里の道を歩いて扉の宿へ訪れた」
当宿三代目が生まれるとき、「荷馬車に乗り傘をさし、当主は馬の手綱をとってお医者様に」
「仕事の暇に、宿の子供と遊んだり(荷馬車で病院に行き生まれた三代目のこと)」
そんな当時のエピソードも綴られていました。
何より、「扉は、額に汗して働く人々や、その家族のなごやかないこい、たのしいまどいの場所である。」
という文を見ると、親族の家に自分の書斎があり、親族の家に遊びに帰って来ている。
という感情を持ってくださっていたのではないかと感じられます。
当宿、扉温泉明神館でマルクス資本論の翻訳を完了された向坂逸郎先生は、扉の地の自然をこのように表現されておられます。
「春には目の覚めるような新緑の中に、赤いつつじが素朴な人間のまごころを思わせている。
夏になると、美ヶ原や鉢伏登山、避暑静養の客で静かな渓谷がしばしにぎわう。しかし、涼風ここちよき室々には、読書人の来り遊ぶのも少なくない。
秋は満山の紅葉火のように燃えて、ボナールの絵のようにけんらんとはえている。
私はまた冬の扉を愛する。読書にあきた「炬燵(こたつ)」の中で、なにげなく渓流の音に耳をかたむける。遠くの方で多ぜいの人が何かささやいているような、また歌っているような錯覚をおこすことがある。私は酒をたしなまないが、冬の扉温泉の「炬燵」の中で、気の合った友達がのみかわす酒の味はかくべつであろう。」
当宿は、2021年6月に90年を迎えます。
1931年の創業、湯治宿よりスタートした明神館を長年愛し続けてくださった向坂逸郎先生が目にした頃の自然、環境とどのように変わってきたのでしょう。
木々は成長し、当然私達スタッフも代が変わりました。
「私たちは、この恵まれた自然環境と訪れるお客様が癒しの時を感じてくださる場所をこれから先も大切に守り抜いていかなければならない。」
90年前と変わらない景色、向坂先生が感じてくださった「たのしいまどいの場所」私たちの使命として、10年後、20年後、50年後となりましても、向坂先生が見た扉であり続けたい。それを守り抜くことが私たちの使命。
四代目当主である齊藤忠政の言葉・意思のもと、私たちはこれからも歩み続けます。
 
 

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